湧き水のような愛/万引き家族
2019年 03月 30日
最近映画を見る暇もなかったのですが、観たいと思っていた「万引き家族」をオンラインで発見、これは観ないわけにはいきません。
貧困や虐待が可哀そうでああいう映画は苦手という感想もチラホラ見かけたのですが・・・
感想。
この物語の主人公達は何と豊かで幸せな人たちか。
そしてそれが見えない人間が何とこの世に多いことか。
可哀そうなのは、現実の世界で同じ屋根の下で暮らしながらも会話も心のつながりもない家族とは名ばかりの者たちであり、自分の生き方を他人のそれと比べて幸福だとか不幸だとか舞い上がったり嘆いたりしている芯のない者たちであり、物事の表面しか目に入らない偽善者たちであり、決してこの万引き家族ではない。
取り調べ室でのお母さんの涙はそういう可哀そうな人たちに対して溢れた、無言の抗議。
盗みはいけないし、それを子供にやらせるリリーフランキー演じる父さんのような人間が実際周りにいたとしたら拒否反応を起こしてしまうと思いますがね。
私は一瞬登場した柄本明が一番好きなキャラクターだったなあ・・・。
私はばあさんだけど、あんな爺さんになりたい。
万引き家族の少年が自分の置かれている状況を突破しなければいけないと悟るような人間に成長したのは、ひとえに、愛。
血はつながっていないけれど、おばあちゃんの愛、お父さんの愛、お母さんの愛。
突破のきっかけとなった、妹分への愛。
近所の爺さんの愛。
それらの愛は湧き水のようで、
きれいにライトアップされるような立派な噴水じゃあ決してないのである。
by nemurijima
| 2019-03-30 23:01
| その他
|
Comments(0)