バイオリン探し・その3
2018年 07月 19日
カーネギー近くの高級 Rare Violinsで紹介されたDavid & Segal
この店も呼び出しブザーで開けてもらう方式のお店でした。
店内は Rare Violinsと逆で、バイオリンや付属品で溢れかえっていました。
敷居は低くも高くもなく。
前もって Rare Violinsのリアゾンのおねえさんが私達の予算内でもちゃんとしたバイオリンが見つかる店として紹介してくれたのですから安心感もあり、それに娘がアポを取る段階で、店が扱っているバイオリンの価格レンジと自分の予算を明確に伝えていましたので、恐れることはなにもありませんでした(小心者)
リアゾンはサバサバして話しやすい感じのニューヨーカーなオバサンでした。
まず、どうやってこの店を知ったか聞かれ、下の娘が事の成り行きを話しました。
リアゾンのオバサン、少し意外そうな面持ちでしたので、Rare Violinから紹介で来る客は少ないか、それとも初めてだったのかな、と思いました。
それほど、Rare Violinは格違いで、私達が行くような店ではなかったのかもしれません。
オバサンは「Rare Violinsは$15000以下のものは置かないからね~」とつぶやき、娘に何年弾いているのか、今使っているのは幾らで購入したのか、どういう音色が好みなのかなど質問、それから現在使っている自分のバイオリンを弾いてみて、と言い(アポの時点で、現在使用しているものを持ってきて、と言われていました)、娘はちょっと緊張しながらも演奏を。
弾き終わると、「じゃあ始めましょう」と、まず2本のバイオリンを持ってきました。
「バイオリン探しはね、何本もいっぺんにトライしてはダメ。一生決まらないから。2本ずつ比べていくの。予算以上のものは持って来ないから安心して。では、弾き比べてみて、好きな方を一つ選んで」
バイオリンのボディーの中にはバイオリンのメーカーや出どころ、そして値段がつけられていましたが、値段を見たら変な先入観が入ってしまうので見ないようにして弾きました。
この試し弾きで、私は自分が5000円のバイオリンと5億円のバイオリンの音が聞き分けられない不幸な耳という事を再確認しました。
それに比べて皆、耳がいい!いや、私が悪過ぎなのか。
下の娘と上の娘(はい、上の娘も一緒に行きました)の意見はいつも一致していて、リアゾンのオバサンも、そうねそっちの音の方があなたに合っているわね、とか、それはあなたの今使っているバイオリンの音に近いわね、とか、あなたにはそっちが弾きやすそうね、とか短い感想や助言を述べ、娘が1本選ぶともう1本別のものを持ってきて、20本ほど弾き比べたでしょうか、2時間ほどであっという間にこれ! という物が決まってしまいました。
最後に残ったのがドイツともう1本はどこだったかな。
同じバイオリンでも弓がいいとテクニックに違いが出て面白かった!
で、最終的にドイツのものに決定したところで・・・
リアゾンのオバサンが「そうだ! 忘れるところだった、もう一挺あるの、このあいだ、街の学生が来て弾いていって、どうしてもそれが欲しいから取り置きしておいて~と頼まれて取って置いたんだけど・・・もう10日経って音沙汰なしだから取って置く義務もないわ。どう?」と持って来てくれました。
弾いてみると・・・
そこにいたすべての人達の耳にしっくりと来たのです。
それで、最後の最後でそちらに決定してしまいました。
イタリアの10年ほど経ったもので、イタリアの木材を使ったハンドメイド。
ヘキ島にはバイオリン工房がないのでメンテがコンスタントに必要なオールドや古めのモダンは持つべきではなく・・・木は生きていて曲がったりするものなので新しいものも避けたいところ。メンテに出せない人は10年くらいのものがちょうどいいと言われていますので、ちょうどよかった。
リアゾンのおばさんが、財布を握る私に言ったことがまたよかった!
「あなたのお嬢さんの選んだものは$5000以下のもの。でもそれが$5000以上のものより劣るということはないのよ、バイオリンの値段は質以外の相場で決められる部分も大きいから。そりゃあ5万ドルのものと比べると違いはあるけどね。全ては弾き手に合っているか合っていないかや好みだから。バイオリンというのは買ったら5年は使ってください。買った時は高いと思うかもしれませんが、これは消費ではなく投資だから。そのうち自然に、弾き手の成長とともに違う音ものを必要とする時が来るので、その時までの投資。だから、次に買うバイオリンは値段が近いものではなくて、ちょっと背伸びしたものを買い、そのバイオリンに合わせて成長すればいいのよ。」
それから娘は華奢で小柄なので、大き目のバイオリンは致命的なのでどんなに気に入っても避けるように言われ、また首が長いのでショルダーレスト選びには苦労するだろうと言われました。
そうそう、娘の試し弾きが最終段階の時に、「アポ取らずに来ましたー」というお客さんが来ました。
店のカウンターと試し弾きの部屋はつながっていましたが、こちらから向こうは死角で姿は見えません。
リアゾンは私達の相手をしていましたので、奥から店主らしき男性が出てきました。
英語で話していましたが、どうやら日本人らしいアクセント。
お母様と娘さんらしい。
その後、親子間で話す時に日本語が聞こえてきましたので、あ、やはり日本人だ、と。
話を盗み聞きするでもなく、聞こえてきたのですが・・・ほとんど話しているのはお母様で、オーストラリアから来ていて、娘さんは16歳、バイオリンを習い始めるにはチと遅めの10歳から始めたという。
ニューヨークにはバイオリンを探しに、とな。
うわーーーー、こんなことってあるのね~~うちと全く同じ~~~
店主「試し弾きの時は必ずアポ取って来てね、今日はすいてるからいいけど・・・」
オーストラリアお母様「あら、そうでしたか、知らずに、すいませんね」
店主「で、ご予算は?」
オーストラリア母「1万ドルくらいで」
ここで私と下の娘の目が合いました(笑)
この後支払いも終わった私達はDavid & Segal を去ったわけですが、オーストラリアから来たという日本少女の演奏聞きたかったなあー。
さて、今、娘はそのバイオリンを持ち、イリノイのサマープログラムに参加中です。
ピアノ、ビオラ、チェロの大学生に交じってバイオリン弾いているビデオを送って来ましたが、すごく楽しそう~。
子供達のヤル気を引き出してくれる場所や人って、このヘキ島にはほとんどなく、下の娘にとってはバイオリンとピアノの先生以外いないので、去年あたりから「私は私のヤル気をちゃんと受け入れてくれるところに引っ越したいよ。」と言い始めていましたので、この夏を本当に楽しみにしていました。こっちへ戻って来てもヤル気なくさなければいいなあ。
それからバイオリンの先生は、新しいバイオリンを見てなんと言うだろう~~。
「いいバイオリン見つけるのは君たちには難しいからやめておいた方がいいのでは・・・値段とか国とか見た感じとかだけじゃいいものってわかんないんだからね! いいものに見せかけておいて1年くらいでガタの来るジャンクって日本や韓国でさえ多いんだからね(先生は中国人)!」
・・・と、夏休みの前に散々言われましたから。
しかし下の娘はひるまず「それでも私は自分の目で探したいんです」と言って、先生推薦のバイオリンを買わなかったのです。
うーん、あの先生のことだから、多分「not bad」と言うのでは。娘はその言葉が好きなのです。「great!」と言われるよりもね!
ピアノの先生(韓国音大&ドイツの大学院卒)に関しては、「バイオリンなんて 300万円くらいするのでないといいものがないのでは~~」・・・だそうです(笑)
by nemurijima
| 2018-07-19 14:10
| 旅
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